不動産売買契約書とは
売主と買主が売買契約を交わしたりする際に、当事者同士で取り決めた事項を記載した書類が売買契約書です。不動産売買契約書に売主と買主が署名押印をおこない契約が成立します。
売買契約書については、取引に係わる不動産会社にて作成することが一般的ですが、契約書について注意すべきポイントを抑えておくことで、スムーズに売買を進められます。
不動産売買契約書の内容
売買の目的物及び売買代金
売主が売却する不動産、買主が購入する不動産の売買代金を記載しています。売買代金のほかに、支払いの時期や手段、取引対象となる不動産を明確化するための土地・建物の住所、面積、売主と買主の住所、氏名といった詳細が記載されます。
マンションの場合には、区分所有建物(専有部分)の詳細情報や、敷地権の目的である土地の詳細情報についても記載されます。
売買対象面積
売買契約の対象となる土地や建物などの面積に関する規定が記載されています。
実測面積と登記簿面積に差異があるときは売買代金を清算します。公簿売買の場合は、実際の面積と違っても清算はありません。
手付
不動産売買契約をした際に、買主が売主に支払う手付金の額が記載されています。この手付金は、残代金支払いのときに、売買代金の一部に充当されるものです。
境界の明示
土地や戸建などの不動産取引の場合には、売主には境界の明示義務があり、隣地との土地の境界を現地にて境界標などの明示をすることとされています。
売買代金の支払時期及びその方法
不動産の売買代金の支払い方法や、中間金および残代金などの金額および支払日やどのように支払うかが記載されています。
所有権移転の時期
買主が売主に売買代金を支払った時点で、売主から買主に所有権が移転することを記載されています。売買代金は全額を支払った時点で移転することが必要です。
引渡し
所有権移転日と不動産の引渡し日は、売買代金全額の受領と同時に引渡すことが一般的ですが、住み替えに伴なう売却などの場合には、必要に応じて引渡し日を別途定めることもあります。
所有権移転登記等の申請
売主は売買代金全額の受領と同時に買主へ対象の不動産の所有権移転の登記申請をしなければなりません。
その際、司法書士が売主から提出される所有権移転登記に必要な権利証書、印鑑証明書等の書類を確認します。
また所有権移転登記に要する費用は、買主の負担となることが一般的です。
物件状況の告知・付帯設備の引渡し
物件状況の告知は、土地や一戸建て、マンションなどの中古住宅を売主が売却の際に、買主に対して、物件状況確認書にて、売却する不動産の状況を記載し告知することです。
付帯設備の引渡しについて、売主が一戸建てやマンションの不動産を売却をする際に、建物に付属している給湯設備や水回り設備、空調設備、照明器具などの設備を引き渡すのかを記載した付帯設備表を作成して、買主に告知するものです。
負担の消除
売主は、物件に抵当権などが設定されている場合、所有権移転時期までに、所有権移転を阻害する一切の負担を除去・抹消することが記載されています。
売主に住宅ローンの残債がある場合は、全額返済が必須になるので注意が必要です。
公租・公課の負担
売買対象となる不動産から生ずる収益または、売買対象不動産に賦課される固定資産税や都市計画税等の公租公課等の諸負担については、引渡し完了日の前日までを売主、引渡し完了日以降を買主が負担することが一般的です。
手付解除
不動産売買契約書に記載された手付解除期日までであれば、売主は手付金の倍額を買主に支払い、買主は手付金を放棄することで不動産売買契約を解除できるとした手付解除に関することが記載されています。
引渡し前の滅失・損傷
不動産の引渡し完了前に、天災など売主・買主双方に責任のない事由によって、不動産の滅失や毀損が発生し、かつ修復が困難な場合には、不動産売買契約の解除が可能であることが記載されています。
契約不適合を除く契約違反による解除
売主、または買主が、不動産売買契約の債務の履行を怠ったときには、その相手方に対し、書面により債務の履行を催告した上で、不動産売買契約を解除して、違約金の支払いを請求することができるとしたことが記載されています。
反社会的勢力の排除
不動産業界は、不動産取引における反社会的勢力の排除に積極的に取り組んでおり、売主と買主が反社会的勢力に該当しないことの定めが記載されています。
融資利用の場合
不動産売買においては、買主が住宅ローンを利用して物件を購入する場合、万一、買主が金融機関から融資を得られない場合には、融資承認取得期日までであれば、不動産売買契約を解除できるとした特約を定めることが一般的です。
これは住宅ローンが不成立の場合に、不動産売買契約を白紙に戻し、売主が受け取った手付金などは買主に無利息で返還するというものです。
また、不動産売買契約書には、融資利用の申込先、融資承認取得期日、融資金額、融資利用の特約に基づく契約解除期日を厳格に取決めて記載することとなります。
契約不適合責任
不動産の引渡し完了後、物件に契約不適合があった場合は、売主が契約不適合責任を負うことが記載されています。
契約不適合責任を負う期間は、個人間の取引の場合、引渡し完了日から3ヵ月と規定することが一般的です。
この期間内に契約不適合が発見されたときは、買主は売主に対し、修補や代金の減額、損害賠償、または解除を請求できるというものです。
また売主が宅建業者の場合は、引渡し完了日から2年間の契約不適合責任を負う規定になります。
建物の基本構造部分の契約不適合責任
売買する物件が新築住宅の場合、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき建物の基本構造部分の契約不適合責任を、引渡しから10年間負うことと記載されています。
その他の特約事項
特約は、必要に応じて売買契約書に追加する条文です。
例えば、売買契約時に占有している建物賃借人を、売主が引渡し時までに立ち退きを完了させる旨の特約。
売主が自宅を買い替える場合に、一定期間内に売却できなかった場合は契約を解除するという内容の特約。
古家付の売買で、建物を売買対象とした場合、建物の契約不適合免責の特約。
といった内容の特約が記載されます。
まとめ
不動産売買契約書には、様々な規定が定められ記載されていますが、こうした細かい規定は、高額な不動産を安心・安全に取引し、売買させるために定められた非常に重要なものです。
このため、不動産売買契約書に記載してある内容や条件については、契約当事者となる買主と売主の双方がしっかりと理解することが必要です。
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