不動産流通標準情報システム
REINS(レインズ)とは、「Real Estate Information Network System」の略称で、国土交通省から指定された、東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4つの不動産流通機構が運営している不動産流通標準情報システムのことです。
レインズは、不動産物件の売買を行うときに、不動産業者によって物件情報が登録され、ネットワークを通じて閲覧できる、不動産業者だけしか利用できない不動産情報システムです。
円滑な不動産取引を行う役目を担うシステムのため、一般の人は利用できません。
不動産を取り扱うということは、登録される不動産情報に、価格や住所、所有者の所在地など、個人情報を取り扱うことにもなるため、あくまでも不動産業者のあいだで守秘義務を前提とし、一定のセキュリティを維持しているためです。
レインズへの登録義務
不動産業者は、売主から物件の売却依頼を受けたら、依頼された物件情報をレインズへ登録します。その際、不動産業者と売主のあいだで締結する媒介契約によって、レインズへの登録義務や登録までの日数などが決められています。
レインズへの登録が義務ではないのが、一般媒介契約です。ただし、任意で不動産業者に依頼することはできます。
不動産業者が媒介契約を結んでから、7日以内にレインズへの登録義務のあるのが専任媒介契約です。また2週間に1回以上は売却に関する業務の報告を行う、という義務も課されます。
専任媒介契約よりも、さらに条件の厳しい契約が、専属専任媒介契約です。媒介契約を結んでから、5日以内にレインズへ物件情報を登録する義務があり、売却活動に関する報告も1週間に1回以上の義務が課せられます。
レインズ登録するメリットとデメリット
売主にとって、レインズ登録のメリットは、売却したい不動産の物件情報を登録することで、より多くの不動産会社に情報を共有してもらえることです。
他の不動産会社に、○○な物件を探しているという購入検討者がいれば、情報を一元化して共有することで、物件の買い手が見つかりやすくなります。
購入希望者から依頼を受けた不動産会社は、レインズで物件情報を検索して、希望に合った物件を紹介します。
レインズでは、売りに出されている物件の情報のほかにも、過去の取引データも閲覧できるため、実際に希望物件の相場価格を知るうえでも役に立ちます。
一方、レインズに登録しても売却が長期化した場合に、新しい物件情報がどんどん更新されて自分の物件情報が埋もれてしまうデメリットがあります。
また不特定多数の人に、物件が売りに出されていると知られてしまう事もあります。
秘密裏に物件を売却したい場合は、不動産業者に買い取ってもらう買取という方法と、売却依頼をするときの媒介契約において、レインズへの登録義務がない一般媒介契約を選ぶのも一つの方法です。
囲い込みをして登録義務違反をする不動産業者
専任媒介契約と専属専任媒介契約の2つがレインズへの登録義務があるにも関わらず、不動産会社の中には、レインズ登録したがらない業者があります。
登録しない理由とは?
売却依頼を受けた不動産会社は、売主と買主の両方を仲介して、買主からの仲介手数料も貰おうと目論んでいるからです。
例えば、不動産を売ろうとして不動産会社A社に売却を依頼します。そして、売却の情報を取得した不動産会社B社が、購入希望者を見つけてきて売買が成立した場合、買主からの仲介手数料は不動産会社B社に支払われるため、売却依頼をされた不動産会社A社は、売却依頼主からの仲介手数料しか貰えません。
そのため売却を依頼された不動産会社が、自社で買主も見つけて、売主と買主の両方からの仲介手数料を狙うために、レインズに物件情報をあえて登録しなかったり、登録しても「この物件は商談中です」や「契約予定になっています」などと言って、他の不動産会社からの物件確認に対して断ってしまうのです。
このように売却を依頼された不動産会社が、自社で情報を抱え込んで外に漏らさないことから「囲い込み」と呼ばれおり、違反をする不動産会社があとを絶たないのが実情です。
一般の人もレインズを利用できる
不動産業者以外の一般人が、レインズを使用して物件を情報を閲覧することはできません。しかし、REINS Market Informationを利用すれば、レインズで掲載されている物件の成約価格や、掲載されている情報に基づく地域の適正価格を調べることはできます。
閲覧できる内容は、成約時期、沿線、最寄り駅、築年、平米数、間取り、成約価格等で、レインズと全く同じ情報ではなく、マンション名や詳細な住所は掲載されていません。
また売主として、REINS TOWERの売却依頼主向けログイン画面を利用することで、売り出している物件の登録情報や、取引の進捗状況のみ閲覧が可能となります。
売却依頼主は、専用確認画面で媒介を依頼した物件がレインズへ登録されているのか、登録内容や取引状況の確認ができるようになります。ただし、自分で確かめるには登録証明書が必要であり、登録証明書に記載されている個別IDとパスワードを使って、物件のステータスを確認することができます。
登録証明書は、登録義務がある専任媒介契約か専属専任媒介契約を結んでいるのであれば、不動産会社から物件の登録証明書を貰うことができます。
物件の取引状況には「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つのステータスがあり、不動産会社が入力を行います。売主は、このステータスを確認することができます。
不動産の適正な相場を確認することで、ご所有の不動産の価値とリアルタイムな売却価格を知ることができるでしょう。
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