不動産会社の営業マン=不動産のプロでない
宅地建物取引士試験の合格率は合格率15,6%~平成30年度213,993人が受験、合格者33,360人
2018年の宅地建物取引士試験の受験者は213,993人で前年より4,639人増。合格者は33,360人で合格率は前年並みの15.6%、合格基準は50問中37問。司法試験や公認会計士など比べると超難関ではありませんが、「狭き門」といえるのではないでしょうか?
平成30年度宅地建物取引士試験実施結果(PDF)
不動産業界および不動産取引の専門資格である「宅地建物取引士」への関心が高まっていることの現れといえるでしょう。合格者のうち女性は11,522人、ほぼ3人に1人の割合、前年比5.1%の高い伸びとなっています。2016年4月に施行された「女性活躍推進法」により、企業や自治体の環境が整備されていけば、今後は、不動産業界でも女性の活躍の場が更に増え、宅建試験の受験者・合格者も増加すると予想されます。
職業別では、学生の合格者が全体の11%と、1割を超えています。就職に備えた資格取得が活発になっている環境では、不動産業界および宅建資格が、学生の間でも注目を集めていることがわかります。
優遇制度を利用しても合格率は20.6%~80%の人が試験に落ちています
不動産会社はたくさんありますが、営業マン=宅地建物取引士というわけではありません。法律では「事務所ごとに、全従事者の5人に1人以上の宅地建物取引士が在籍していなければならない」とされています。営業マンが5人いれば4人は無資格者でも営業はできます。経営者が有資格者である必要も、法的には何ら問題はありません。
「不動産会社で実務を経験していれば、資格が無くても必要な知識を身に付く」と考える方もいるかもしれません。実は宅建試験においても、この考え方は生かされています。不動産会社の従業員は、宅建試験で優遇措置を受けられるのです。「宅地建物取引業に従事する者」は、国土交通大臣の登録を受けた指定機関による「登録講習」を修了すれば、3年間宅建試験の一部が免除されます。2018年は50問中5問が免除されています。一般の方が50問中37問を正答しなければ合格できなかったところ、45問中32問の正答で合格できたのです。「登録講習」は指定機関によって1万5,000円~2万円程度の費用で受講できます。宅地建物取引業者の免許を持った企業の「従業者証明書」が必要ですが、勤続年数に制限はありません。
2018年の宅建試験において、上記の登録講習修了者の受験者数は56,415人でした。合格者は10,364人、合格率は20,6%です。全体の合格率よりは高いとはいえ差は5%。5人に1人しか合格していません。
これは、「不動産会社に勤務し実務経験があるだけでは、不動産取引に必要とされている、専門性が高く広範な知識を習得するのは困難だ」という事実を示しています。不動産会社の営業マンだからといって、宅地建物取引士ではない方を無条件に「不動産取引のプロ」と信頼してしまうのは危険ということになります。
宅地建物取引士の資格を有していない人はたくさんいます
「宅地建物取引士」は宅建試験に合格するだけでなれません。宅地建物取引業の2年以上の実務経験が無い場合は「登録実務講習」を受講し、修了しなければなりません。さらに、試験合格後1年以上経過した人は「法定講習」を修了して、やっと「宅地建物取引士証」を交付され「宅地建物取引士」となります。
5年に1度「宅地建物取引士証」の更新のために「法定講習」を受け、最新の不動産取引の法令や税制の改正、判例などについて勉強しなければばりません。「宅地建物取引士」の資格を取得すると、大概の営業マンが、営業スタイルを改める傾向が強くなります。プロとしての意識を持って知識を学び、経験を重ね、公明正大な取引を心掛けるよう注力します。
お客様が正しい判断が下せるように、正確に情報を伝えようと細心の注意を意識してきます。万一、無用に結論を急かしたり、ネガティブな情報を隠したり、必要な手続きを省いたりしようものなら、犯罪行為に等しいことを認識しているからです。
知識と経験。大切なのは‥
個人において一番高い買い物が不動産売買ではないでしょうか?
不動産を売る、買う‥とても大変な労力を要します。各種法律や税制、知っているいないでは全く違います。責任の重さを考えると、営業マンには宅地建物取引士の資格は必要不可欠です。そして正しい知識の上に積み上げた十分な経験が必要です。知識と経験に基づいた接遇がお客様に対するサービスの価値と考えます。
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