私道の通行・掘削承諾書について解説します
一般的には、土地所有者が自身の土地内にある私道を他者に通行や工事を行うために使用させる場合に、両者の権利と義務を明確にするために使用されます。
通行・掘削承諾書の内容とは
【通行や工事の許可】
承諾書は、土地所有者が他者に私道を通行したり工事を行うことを許可する内容を明示します。通行や工事の種類、期間、範囲などが具体的に記載されます。
【使用料や費用】
承諾書には、通行や工事の許可に対する使用料や費用に関する取り決めが含まれることがあります。これは、私道の維持や修繕にかかる費用をカバーするためのものです。
【責任と保険】
承諾書は、通行や工事に関連する事故や損害に対する責任分担や保険の取り決めを含むことがあります。通行者や工事者の安全確保や、土地所有者の財産への損害防止に関する事項が明示されます。
【条件と制約】
承諾書は、通行や工事に関する特定の条件や制約を示すことがあります。例えば、工事の時間帯や使用可能な道具、通行者の人数制限などが詳細に記載されます。
【署名と日付】
承諾書は、土地所有者と通行や工事を行う者双方の署名と日付が含まれる必要があります。これによって、双方の同意と合意が確認されます。
【事例】所有者38名が共有する私道
ご売却の依頼を受けた東村山市内の土地について、購入希望をされる法人と「私道における通行・掘削承諾書」について打ち合わせをしました。
前面道路は建築基準法42条1項2号の開発道路、所有者38名が共有する私道です。
まずは測量に着手!
隣地所有者にご協力いただき現地確認、境界確定の筆界確認書を手交、合わせて私道の所有者38名からの立会い確認作業の実施です。
これらの作業を講じないと合分筆できないからです。そこで測量会社に依頼し作業を進める中で2つの問題が発生してきました!
私道の所有者全員の承諾がないと新規に引き込みはしません?!
私道の所有者38名中、36名の承諾をいただくも2名が不承諾。
1名の方は遠方に住んでおり、異を唱えることはしないも書面に署名押印はしたくないと仰られます。残る1名の方は所在不明。
ガス会社は私道所有者全員の承諾がないと「新規引き込みできない」と言います。
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粘り強く交渉と相手に理解を求める姿勢
関係先である法務局、ガス会社に相談し、指示を仰ぎながらの作業が要となります。
指導する側ですから、事態収集において解決法にギャップが生まれてきます。ゆえに経験豊富なブレーンを介しての交渉となるわけです。
所有者宅に何度もお邪魔することはもちろん、お手紙を出したり、お電話をしたり・・・。結構、大変な作業となるのが実情です。そのような作業を繰り返し交渉過程等を明らかにしたうえで理由書を提出します。
今回は法務局、ガス会社に理由書を提出、合分筆、ガス会社の決裁を得られることができました。
基本は承諾書を取り付けることです
個人が売る際もこのような作業をしなければいけないのか?というご質問をいただきますが、「出来る限り承諾書は取り付けることが良いです」とお答えをします。
理由は問題の先送りをしない、先送りするのであれば、何で先送りをしなければならいのか、理由を開示する必要があるからです。
確かに個人間売買において、公簿売買として合筆や地積更正しない場合もあります。
ガスについてもオール電化にするから必要ない場合もあります。
でも、これは買主しだい、といったことになり問題ありと思われます。不特定多数の人に納得いただけるよう形を整える必要があります。
筆界特定制度の利用、重要事項説明にて現況説明
境界等において承諾書が手交できない場合は、筆界特定制度を利用します。
分筆合筆、ガスの供給については購入される方に、重要事項説明において特約条項を設けるようにしています。
「この物件においてマイナス要素として○○○があります。買主はそれらに関して、宅地建物取引士より事前に説明を受け、承諾することとします」といった内容となります。
ご所有される不動産の前面道路は公道?それとも私道?売買の際にとても重要な要素となります。
一般の方ですと、調査することが難解かもしれません。当社は、市役所や法務局等に対し迅速に物件調査をし、その事実を細大漏らさず所有者様にお伝えします。
もし問題があると思われる場合は、専門分野に特化する担当者と連携し、解決する方法をご提案いたします。
最後に
承諾書は、法的な契約と見なされる場合があり、紛争の予防や解決に役立つ重要な文書です。
通行や工事を行う側が承諾書を守ることで、土地所有者とのトラブルを避けることができます。
したがって、私道の通行掘削承諾書は、関係者の権利と義務を保護するために重要な役割を果たすものです。
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