不動産売却の窓口の営業担当者は宅地建物取引士ですか?
国土交通省大臣が指定した指定機関「一般財団法人不動産適正取引推進機構(RETIO)」の発表によると、2016年の受験者は19万8,463人で前年より3,500人以上増。
合格者は3万589人で合格率は前年並みの15.4%、合格基準は50問中35問。司法試験や公認会計士など比べると超難関ではありませんが、「狭き門」といえるのではないでしょうか?
(参照:https://www.retio.or.jp/exam/pdf/result.pdf)
最近の合格者の傾向
宅建試験の受験者は3年連続で増加しています。
不動産業界および不動産取引の専門資格である「宅地建物取引士」への関心が高まっていることの現れといえるでしょう。
合格者のうち女性は1万139人、ほぼ3人に1人の割合、前年比6.1%の高い伸びとなっています。
2016年4月に施行された「女性活躍推進法」により、企業や自治体の環境が整備されていけば、今後は、不動産業界でも女性の活躍の場が更に増え、宅建試験の受験者・合格者も増加すると予想されます。
職業別では、学生の合格者が全体の11%と、初めて1割を超えています。
就職に備えた資格取得が活発になっている環境では、不動産業界および宅建資格が、学生の間でも注目を集めてます。
宅建試験の優遇制度
不動産会社は多数ありますが、その営業担当者が全てが専門資格を持つ宅地建物取引士というわけではありません。
法律では「事務所ごとに、全従事者の5人に1人以上の宅地建物取引士が在籍していなければならない」とされています。
営業マンが5人いれば4人は無資格者でも営業はできます。
経営者が有資格者である必要も、法的には何ら問題はありません。
一方で、「不動産会社で実務を経験していれば、資格が無くても必要な知識を身に付く」と考える方もいるかもしれません。
実は宅建試験においても、この考え方は生かされています。
不動産会社の従業員は、宅建試験で優遇措置を受けられるのです。
「宅地建物取引業に従事する者」は、国土交通大臣の登録を受けた指定機関による「登録講習」を修了すれば、3年間宅建試験の一部が免除されます。
2016年は50問中5問が免除されています。
一般の方が50問中35問を正答しなければ合格できなかったところ、45問中30問の正答で合格できたのです。
「登録講習」は指定機関によって1万5,000円~2万円程度の費用で受講できます。
宅地建物取引業者の免許を持った企業の「従業者証明書」が必要ですが、勤続年数に制限はありません。
登録講習修了者の合格率は?
2016年の宅建試験において、上記の登録講習修了者の受験者数は、4万4,123人でした。
合格者は8821人、合格率は20%です。全体の合格率よりは高いとはいえ差は5%弱。5人に1人しか合格していません。
この結果は、まぎれもなく「不動産会社に勤務し実務経験があるだけでは、不動産取引に必要とされている、専門性が高く広範な知識を習得するのは困難だ」という事実を示しています。
不動産会社の営業マンだからといって、宅地建物取引士ではない方を無条件に「不動産取引のプロ」と信頼してしまうのは危険なのかもしれません。
宅地建物取引士こそが不動産取引のプロなのです!
「宅地建物取引士」には、宅建試験に合格するだけでなれません。
宅地建物取引業の2年以上の実務経験が無い場合は「登録実務講習」を受講し、修了しなければなりません。
さらに、試験合格後1年以上経過した人は「法定講習」を修了して、やっと「宅地建物取引士証」を交付され、「宅地建物取引士」となります。
5年に1度「宅地建物取引士証」の更新のために「法定講習」を受け、最新の不動産取引の法令や税制の改正、判例などについて勉強しなければばりません。
「宅地建物取引士」の資格を取得すると、大概の営業マンが、営業スタイルを改める傾向が強くなります。
プロとしての意識を持って知識を学び、経験を重ね、公明正大な取引を心掛けるよう注力します。
お客様が正しい判断が下せるように、正確に情報を伝えようと細心の注意を意識してきます。
万一、無用に結論を急かしたり、ネガティブな情報を隠したり、必要な手続きを省いたりしようものなら、犯罪行為に等しいことを認識しているからです。
責任の重さを考えると、営業マンには宅地建物取引士の資格は必要不可欠です。
そして正しい知識の上に積み上げた十分な経験が必要です。
知識と経験に基づいた接遇が、お客様に対するサービスの価値と考えます。
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