土壌汚染対策法とは
所有している土地が土壌汚染しているかも…?
長年自動車整備工場を営業しているお客様より、所有する不動産のご売却のご依頼を受けた際に口にされたことは「かれこれ50年以上車屋をしているのですが、もしかしたら土壌汚染しているかもしれない、どうしたらいいのでしょう?」といった内容でした。
豊洲問題もあり非常に気になることですが、一般的なケースに置き換えてご説明をいたします。
主にガソリンスタンド、自動車整備工場、クリーニング店等の事業をされていた場合、市役所などに有害物質取扱事業者として登録がされているので慎重な調査が必要となります。(有害物質取扱事業者とは条例に規定する工場又は指定作業所を設置している者で、有害物質を取り扱い又は取り扱ったことがあるもの)
環境確保条例第116条(平成13年10月1日施行)
この法律には、「工場又は指定作業所を廃止・除去するとき」に法令を遵守した対応を求めるとの規定があります。
廃業をする場合や建物を解体する際にはフロチャートに基づいた手続きをしなければなりません。
具体的に求められるのは土地利用の履歴、有害物質の使用、排出状況のヒアリングとなります。ヒアリングの結果、市役所環境課より、概況調査(土壌汚染状況調査)を求められた場合は、その指示に従うことになります。
概況調査(土壌汚染状況調査)
調査対象区域を30m格子で分割し、その30m格子毎に、地表より1m毎、5m迄の土壌を採取します。その際に揮発性有害物質の調査として空気も採取します。
概況調査は全ての有害物質を調査対象にすることをお薦めします。作業員による手作業は1ヶ所あたり2~3時間、費用は1ヶ所あたり15万円~20万円といったところが相場です。
作業実施後数日で速報値が知らされ、調査報告書としては7~10日前後で提出されます。
有害物質の種類は全3種25種類
第1種有害物質(11種類)、第2種有害物質(9種類)、第3種有害物質(6種類)。土壌汚染対策法ではアルキル水銀化合物は水銀及びその化合物として1つの物質になるため25種類となります。
詳細調査(土壌汚染深度調査)
土壌汚染状況調査により有害物質が検出されなければ、法律上の手続きは完了となります。
検出された場合は、詳細調査となり土壌汚染深度調査が求められます。具体的には30m格子毎に、地表より1m毎、10m迄の土壌採取となります。
この作業には専門の機械を据え付けて行うものとなり、結構大掛かりなものになります。調査報告書は7日~10日程度で提出されます。
事例として2ヶ所の深度調査に二日半、費用として約80万円程を要しました。
土壌汚染対策の実施と完了調査
「改良工事の実施範囲を地中何m迄とするのか?」、調査会社より指摘されるのですが、対策実施に伴う費用は決して安価ではありません。
対策法としては、「汚染土の入れ替え」があります。作業に伴う費用は1㎥あたり4万円~5万円、100㎡の敷地を深さ1m改良するのに約400万円~500万円もかかるのです。
もう一つの方法としては「中和剤を投与し、規定値以下にする」方法があります。いづれにしても確りとした知見を有している担当者による適切なアドバイスが不可欠となります。
適切に措置をした土地は適正価格で売れます!
築年数を経過した建物は、瑕疵担保免責として特約条項に加えることは可能ですが、地中埋設物について引き渡し後3ヶ月間は所有者の責任にて対応する特約とすることが多いです。
土壌汚染の可能性の有無については明確にする必要があります。解体工事の際に一般廃棄物として処理することはできません。
改良工事等適切な措置さえすれば適正な価格にて売却することができます、後の不安も解消されます。
西東京市では年間でも僅か数件!
よほどの大きな工場でない限り土壌汚染はあり得ない?これは違います!結果として土壌汚染に伴う改良工事の実施は西東京市内でも年間で僅か数件ですが、環境確保条例に基づく調査は所有者の責任となることは忘れてはいけません。
売却を考えた場合、安心、安全な取引を行うためにも土壌汚染に関する調査、改良工事を手掛けたことのある不動産会社に相談をすることをお薦めいたします。ガソリンスタンド、自動車整備工場、クリーニング業を営む方、慎重に不動産会社、営業担当者を選択してください。
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