西東京市はフレイル予防に積極的に取り組んでいます!
西東京市では、平成29年1月14日(土曜日)に、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢先生をお招きして、フレイル予防について学ぶ講演会を西東京市市民会館公会堂にて開催しました。
講演会当日は、寒波が襲来し小雪も舞う中、市民のみなさんや市内で働く専門職のみなさんも含め400名を超える方々にご来場いただきました。
フレイルとは、体がストレスに弱くなっている状態のことを指します。
早く介入をすれば元に戻る可能性があります。
高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険があります。
フレイルとは
フレイルは、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。
多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。
高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。
フレイルの基準は
フレイルの基準には、さまざまなものがあります。Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。
1.体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
2.疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
3.歩行速度の低下
4.握力の低下
5.身体活動量の低下
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。
フレイル状態になるとどうなる?
フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。
また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になっています。
例えば健常な人が風邪をひいても、体の怠さや発熱を自覚するものの数日すれば治ります。
しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。
また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。
転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。
フレイルの状態に、家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。
フレイルへの介入方法
1.持病のコントロール
糖尿病や高血圧、腎臓病、心臓病、呼吸器疾患、整形外科的疾患などの慢性疾患がある場合には、まず持病のコントロールをすることが必要です。
フレイルの筋力低下には、この後に説明する運動療法が有効ですが、持病のコントロールがされていないと高齢の方は体を動かすという気持ちになれないこともあります。
また、持病の治療がうまくいっていないとフレイルを悪化させてしまう可能性もあります。
2.運動療法と栄養療法
高齢者に対し適切な運動療法を行うと、サルコペニア、筋力低下に対しては、高齢者であっても運動療法によって筋力が維持される、ということが一部研究で報告されています。
運動療法は個人に合ったものから始めることが大切です。
ベッドの上で足の運動を行うことから始まり、椅子に座ったり立ち上がったりを繰り返したり、歩行距離を徐々に延ばしていくように運動強度を調整します。
筋力が低下している状態で、いきなり立ち上がったり、無理に歩行しようとすると転倒や骨折を起こす危険があります。
また運動療法は栄養療法とセットで行う必要があります。
低栄養状態で運動を行っても筋肉がつかないどころか、低栄養状態を助長してしまいます。
筋肉をつけるために必要な良質なタンパク質を摂れるような食事指導をします。
3.感染症の予防
高齢者の場合は、免疫力が低下していることが多いためインフルエンザや肺炎にかかりやすいといわれています。
インフルエンザや肺炎をきっかけに、重症化して入院、そして寝たきりになってしまうこともあります。
日頃から適度な運動やバランスのよい食事などにより感染症に強い体作りをするだけでなく、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種しておくのもフレイルを予防する1つの方法といえます。
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