私の実家なんですが相続登記をしていません。何か不都合あるのですか?
父が亡くなり5年、実家には兄の家族と母が住んでいます。相続登記する必要ってあるのですか?
ご相談いただいた方は60歳。お兄さん63歳、他に妹さん55歳と51歳、計4人のご兄弟です。
5年前にお父さんがお亡くなりなり、ご実家はご長男さんご家族とお母さんと4人でお住まいになられています。
「最近、新聞を読んだのですが「相続登記」は手続きをしなければダメなのですか?実は私の実家、長男の兄が引き継いでいるのですが相続登記をした記憶がないんですよ。というか、実家は亡くなったおじいちゃん名義だと思うのです」
『おじいちゃんは何年ぐらい前にお亡くなりになったのですか』
「私が小学校一年生の時だから50年以上前になると思いますが…」
『そうですか50年以上前ですか・・・』
不動産登記簿における相続登記未了土地調査について 法務省(平成29年6月6日 )
土地の所有者が死亡した後も長期間にわたり、相続による所有権の移転の登記など「相続登記」がされず所有者の所在の把握が困難となり、公共事業に伴う用地取得等に支障を来すなどのいわゆる所有者不明土地問題が顕在化しており、社会的な関心を集めています。
法務省では、この問題に対応する方策の検討のため、大都市・中小都市・中山間地域などの地域バランスも考慮しつつ、全国10か所の地区(調査対象数約10万筆)で相続登記が未了となっているおそれのある土地の調査を実施しました。
調査は、調査対象土地に係る自然人名義の所有権の登記がいつされたのかを調査し、その経過年数を把握する手法により行いました。
その結果、最後に所有権の登記がされてから50年以上経過しているものが大都市地域において6.6%、中小都市・中山間地域において26.6%となっていることが分かりました。
調査結果の詳細は、こちら「PDF参照」のとおりです。
法務省によると、不動産の相続などに伴う登記件数は年間約100万件。統計上はっきり現れてはいないが、「毎年無視できない数の未了が発生している」と述べています。
相続登記、法的義務はありません
相続登記をしない理由は、法的な義務はなく、相続税の申告と違って申請期限もないからです。
すぐに名義を変えないからといって直ちに不都合が生じるわけではなく、手続きの煩雑さがあるからです。
「ということは不都合なことはないのすか?」
『いえ、相続登記をしないと困ったことになります。特に時間が経過すればするほど、大変な作業を要することになります』
相続登記がされない場合の問題点は
1,売りたくても売れない。
2,お金を借りたくても担保に入れお金を借りることができない。
3,時間が経過するほど法定相続人の数が増えて遺産分割協議書の作成が困難になる
4,隣地との境界確定ができずに相手に迷惑をかける
他には法定相続人の気が変わり金銭を要求されてくる。
「そうですか‥大変なことになるのですね」
『ハイッ。私はこのように考えています。手続きも大変、お金も掛かることですが、みなんさんが心も身体も元気なうちに解決するべきだと思います。お話をお伺いするとご兄弟はみなさんご健在ですので、50年以上前に遡っておじいちゃんの相続、お父さんの相続、難しい要素は少ないと思いますよ』
社会問題化する相続登記されない不動産の実態
所有者不明な土地の面積が九州1つ分の面積に相当し、膨大な経済損失があると報道されています。所有者不明の背景には相続登記されないことが起因しています。人口減少が進み、使い道がないという土地が増加、売るに売れない、資産価値が下がる。
結局、相続しても登記はしない。正しく負のスパイラル状態なのです。
国もコトの重大さに気が付きいろいろと対策を講じようとしています。
わたしたちは「不動産」を「負動産」にせず「可動産」とし「冨動産」にするべく、このようなご相談にも誠実に対応をさせていただきます。相続登記は弁護士、司法書士、土地家屋調査士といったパワーチームを編成し解決に向けて行動します。
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