成年後見制度の改正ポイントを解説します
成年後見制度は、2000年の開始以来、約25年ぶりの抜本的な見直しが行われようとしています。2026年に入り、政府は「一度始めたらやめられない」という最大の課題を解消する民法改正案を4月3日閣議決定しました。
終身制の廃止:必要なときだけ利用可能に
これまでは、認知症などで制度を一度利用し始めると、本人が亡くなるまで解約できない「終身制」が原則でした。改正後は 遺産分割や不動産売却など、「特定の目的」が終われば後見を終了できるようになります。 メリットは 「手続きのために一時的に助けてほしい」というニーズに応えられるようになり、心理的なハードルが下がります。
制度の簡素化:「補助」への一本化
現行制度は本人の判断能力に応じて3類型(後見・保佐・補助)に分かれており、非常に複雑でした。改正後は 原則として「補助」類型に一本化される方針です。仕組みは 裁判所が画一的に権限を決めるのではなく、本人の状態に合わせて「どの事務をサポートするか」を個別に決める「オーダーメイド型」の支援に変わります。
本人の意思尊重と後見人の交代
これまでは一度選任された専門職(弁護士や司法書士など)を、相性が悪いという理由だけで交代させるのは困難でした。改正後は 本人の意向をより重視し、後見人の交代が柔軟に認められるよう要件が緩和されます。ポイントは 「誰に助けてもらうか」という本人の選択権が強化されます。
デジタル遺言の創設(関連改正)
今回の民法改正案には、利便性向上のためにスマホやPCで作成できる「デジタル遺言」の導入も盛り込まれました。自筆で全文を書く負担を減らし、若いうちから準備しやすくする狙いです。
なぜ今、見直されるのか?
65歳以上の人口が日本全体でに占める割合は3割あまり、家族に頼れない単身世帯が増加しています。具体的には高齢者単身世帯は855万世帯(2023年現在)全世帯の16%。高齢者世帯に絞れば半数以上が単身世帯。身寄りのない高齢者の財産管理制度を支える制度が喫緊の課題となっているからです。
政府が改正案は今国会(通常国会)での成立を目指しています。 法律が成立してから実際に運用が始まるまでには、裁判所のシステム改修や新しいルールの周知期間として、通常 1年〜2年程度 の準備期間が設けられます。準備期間を経て、2027年以降に 順次新しい制度がスタートする見通しです。
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