残代金の受領と物件の引渡し
物件の引渡し当日には、残金の支払いや登記申請が必要になることから、金融機関や法務局が開いている平日の日中に行うことになるのが一般的です。あらかじめ日程の調整をしておきましょう。
買主が住宅ローンを利用する場合、借り入れる金融機関に、売主、買主、不動産会社、司法書士などが集まって、売買代金から不動産売買契約の際に受け取った手付の金額を引いた残代金を授受します。
買主は代金の支払いと同時に土地・建物の引渡しを受けて、所有権を自分のものにする必要があるため、決済・引渡しには所有権移転登記手続きを行う司法書士が必ず立ち会い、売主から提出される登記書類を確認します。
買主のための登記手続きを行うことから、この司法書士は買主側が用意するのが一般的です。
売主には、買主の完全な所有権を阻害する一切の負担を除去抹消する義務があり、所有権移転登記書類だけでなく、抵当権等の抹消書類一式を買主に引き渡さなければなりません。登記書類に不備があると、決済ができなくなってしまいますので注意が必要です。
引渡しに必要な書類
次の準備事項のうち、専門家への依頼が必要なものについては、媒介業者が紹介や手配等をしてもらえますので、営業担当者と打合せをしておきましょう。
<土地・建物の登記済証(権利書)または登記識別情報>
代金受領と同時に買主に引き渡します。万一、紛失等してしまっている場合には、いずれも再発行ができませんので、司法書士による本人確認情報、または事前通知制度を利用することになります。
司法書士による本人確認制度は、所有権移転の登記申請を行う前に、司法書士などの専門家によって、売主が本人であることの確認手続きをし、登記官がそれを認めれば登記の手続きが行われます。
事前通知制度は、売主が登記済証等なしで登記申請をおこなう場合、申請内容に間違いがないかどうか、登記官によって本人の住所宛に本人限定受取郵便が送付され、2週間以内に登記官へ所定の書類を返信することで確認手続きがなされます。
ただ実務において、登記申請が却下される可能性があるため、取引の安全を考慮すると、司法書士による本人確認制度を利用するのが一般的です。
<抵当権抹消書類>
残代金の受領と同時に、登記済証(権利証)とともに買主に引き渡します。住宅ローンなどの借入によって、抵当権等が設定されている場合は、事前に抵当権者への返済と抹消書類の受領方法を抵当権者である金融機関等に確認しておく必要があります。
<印鑑証明書と実印>
登記簿上の住所と印鑑証明書の住所が異なる場合、住民票等が必要になります。
<土地の確定測量図や建物の関係書類原本一式>
確定測量図は隣地との境界や、引き渡す面積を確定するために土地の測量を行った図面です。これは売却する不動産の範囲を決めるために、不動産売買契約後に実施するものです。
建築確認申請時の書類、検査済証、土地測量図等、手元にある関係書類一式を整理して
おきましょう。
マンションの場合は、管理規約や使用細則の原本、また区分所有者の変更届、管理費や修繕積立金の引き落としをするための口座振替依頼書など、引渡義務のある書類等を用意しておきましょう。
物件の最終確認
決済を行う前に、売主と買主の立会いによる物件の最終確認を現地にて行います。売買契約書に定めた条件で引渡しが行われるかどうかの最終確認をします。
買主の引渡し前の物件確認には、売主も立ち会うのが原則ですが、やむを得ない場合は売主は立ち会わずに、媒介業者が代わりに立ち会うこともあります。
買主は、契約時の状態または約束した物件の状態になっていることを確認します。敷地の境界を確認したり、売主と買主が約束していた補修工事、または建物の解体工事が未了等があり、約束した引渡し日に引渡しができないときは、買主の承諾を得て引渡日を延期するか、引渡し後に工事を行う覚書を交わして引渡しを行うことになります。
早めに引渡し準備をして、書類の不備や未履行の工事等がないようにしなければなりません。
残金決済および引渡し
買主が住宅ローンを利用する場合が多いので、通常は金融機関に集まって振り込みで残代金を授受することになります。
残代金を全額受領したと同時に、所有権移転、抵当権の抹消等の登記申請を司法書士に委任します。
固定資産税やマンションの管理費等については日割りで清算を行ないます。引渡し前日までは売主の負担、当日からは買主側の負担とするのが一般的です。
登記申請をおこなう司法書士への報酬などの支払い、および仲介手数料の残額を支払いも行います。
残代金の決済をした後に、鍵の引渡しを行います。玄関だけでなく、すべての鍵を引き渡すことになりますので、あらかじめ用意しておく必要があります。
鍵の引渡しが終了した段階で、すべての取引は完了です。
契約不適合による売主の担保責任
売主は、売却した土地・建物に買主が注意しても知ることができなかった欠陥や、種類、品質等に関して契約の内容に適合しないものがあった場合、特約で免責していない限り、契約不適合責任を負うことになります。
引き渡した目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであることを、契約不適合といいます。
例えば、引渡し後に、土地が土壌で汚染されていることが判明したり、建物の土台がシロアリの被害を受けていることがわかったりした場合です。
引き渡した目的物が契約不適合であった場合については、民法上、売主には4種類の義務・責任があります。
<追完義務>
買主は、目的物の修補、代替物の引渡し、または不足分の引渡しによる履行の追完を請求する権利があります。
例えば、屋根の雨漏りが契約不適合責任の対象となる場合には、売主の費用と負担で屋根の修理を行わなければなりません。
<代金減額>
買主から追完を求められても追完を行わないときには、契約不適合の程度に応じて、買主からの請求によって、代金を返還する、または減額するよう求める権利あります。
<損害賠償義務>
引き渡した目的物に契約不適合があり、売主に過失がある場合、そのために買主が損害を受けたときには、売主は損害を賠償する義務を負います。
例えば、売主は屋根が破損していることを知りつつ告知せず、雨漏りが発生したような場合です。
<契約解除>
買主から求められても追完を行わないなどの場合には、売買契約が解除されることもあります。契約解除された場合、売買代金は買主に全額返還することになります。
不動産を売却した後は
引渡し後に忘れてはいけないのが、税金の納付です。売却した場合、売却した金額にそのまま課税されるわけではありません。売却した金額から、取得する時にかけた取得費用と売却する時にかけた譲渡費用を差し引いても譲渡所得(利益)がでれば課税されます。
不動産売却で利益が発生した場合は、所得税や住民税などの税金を納める必要があります。所得税と住民税は、条件によって特別控除や買い換え特例が受けられる場合があるので確認しておきましょう。
また、不動産売却で得た所得は譲渡所得として区分されるので、他の所得と異なる方法で税額を計算して、確定申告を行う必要があります。
確定申告をする場合や、各種特例、控除制度の適用については、税理士等の専門家に相談、確認して手続きを行うようにしましょう。
まとめ
不動産売買をするにあたり、宅地建物取引士は、不動産担当者が持っているべき資格ですが、担当者の全員が保有している訳ではないので、必ず確認するようにしましょう。
不動産売却の成否は、優秀なパートナーを見つけることができるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
不動産査定の際、各不動産担当者は自身の会社を選んで欲しいからという理由で、実際の売却金額よりも高額な査定額を提示してくる不動産会社が多くある中、根拠を提示しながら説明してくれる不動産担当者かどうか。
なるべくレスポンスが早かったり、誠実な対応をしてくれたり、悪い報告でもすぐに伝えてくれる不動産担当者であるかどうか。
不動産売却は、人生において数多くあるわけではありません。より良い条件で不動産売却をするためにも、不動産担当者はしっかりと見極めるようにしましょう。
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