残代金の支払いと物件の引渡し
買主が売買代金全額を支払うことを決済といいます。売主と買主が不動産売買契約を締結してから、およそ1ヶ月から2ヶ月以内に行われることが多いです。
買主の売買代金支払いと、売主の物件の引渡しを同時に行いますので、「決済・引渡し」という言い方もします。
売買対象物件に抵当権や賃借権等がついている場合、売主はその責任と負担において、その抵当権等を除去し、その登記を抹消して買主に引き渡し、移転登記しなければなりません。
住宅ローンを利用した場合の融資の実行、残代金の支払い、固定資産税などの日割精算、物件の引渡しは、不動産取引の安全のため、同日に実施されるのが一般的です。
残代金は物件の売買代金から、すでに売買契約時に支払った手付金の金額を差し引きし、最終的な支払い額を調整します。
決済の際、住宅ローンを利用した場合は、金融機関から融資実行が行われ、ローンを提供する金融機関から売主へ売買代金の残代金が支払われます。
また固定資産税および都市計画税は、税額を所有権が買主に移転する日付で日割り計算し、差額を支払います。さらに中古マンションの場合は、管理費や修繕積立金等を同じく所有権が移転する日付で日割精算を行います。
事前に準備すること
残代金の受領と物件の引渡しに向けた準備に入るため、引渡し前の最終段階として、現地確認を行います。
売主による物件状況の確認書、あるいは付帯設備表といった書面で売買契約時に告知されたことと相違ないか、また売主も気づいていない新たな破損・故障が発生していないか、残置物はないかなど確認が必要です。
中古物件の設備等の故障や不具合が、物件の引き渡し後に発覚した場合、主要設備の不具合については引渡完了日から7日以内、給排水管の故障等は3か月以内に請求を受けた場合に限り、売主は責任を負うという契約内容のものが多いですが、引き渡しを境に売主に補修等の請求できなくなる項目もありますから、引き渡し前に買主の目で確認しておきましょう。
新築分譲住宅等の場合、引渡し日までの間に実施されるのが、立ち会いの内覧会です。買主、建築業者(建売の場合は建売業者)、不動産会社の3者で行うのが一般的です。
買主は、金融機関等からの融資を受ける場合は、融資手続き後、金融機関の指示に従って融資実行の手続きを行います。決済日に必要な金銭や書類等については、不動産会社の連絡に従って準備をしましょう。
不動産登記について
不動産登記とは、中古住宅を購入した場合、土地と建物それぞれについて、所有者が売主から買主に移ったことを示す所有権移転登記、新築の建売住宅を購入した場合や、土地を購入して新築戸建てを建てた場合、土地は所有権移転登記を行い、建物を所有者が自分であると明示するための所有権保存登記が行われます。また所有権登記のある不動産に、金融機関等が担保権を設定する際に行う抵当権設定登記があり、土地や建物の不動産の所有者を、法的に明らかにするための制度です。
決済日に立会う司法書士が、不動産登記に必要な書類や情報を確認します。
司法書士により所有権の移転・抵当権等の抹消等に必要な書類や情報が確認された後に残代金の支払いを行います。
売買対象物件に抵当権や賃借権等がついている場合、売主はその責任と負担において、その抵当権等を除去し、その登記を抹消して買主に引き渡し、移転登記しなければなりません。
書類が不足していたり情報が確認できないような場合、決済が延期されることがあるので注意が必要です。
登記手続きをするためには、所有権保存登記や所有権移転登記など、登記をする際に納める国税の登録免許税と司法書士に委託する場合の費用が必要になります。
決済日に必要なもの
基本的に決済は、銀行が営業している平日に手続きを行います。
売買代金の着金確認について、それほど時間がかからずにできれば、決済・引渡し手続きは、書類作成の時間を合わせて1時間から1時間半ほどで終了します。
決済当日に必要なものは・・・
・売主へ支払う残代金
・印鑑(場合によっては実印)
・住民票(事前に金融機関に提出済みの場合は不要)
・本人確認資料(運転免許証など)
・預金通帳と銀行届出金
・固定資産税・都市計画税の精算金
・管理費・修繕積立金の精算金(中古マンションの場合)
・登記費用(登録免許税を含む司法書士の報酬)
・仲介手数料(不動産会社の報酬)
決済日時と場所は、関係する当事者と打ち合わせ後決定されます。
物件の引渡し
不動産の引渡しを行います。売主から関係書類を引き継ぎ、建物がある場合は、売主から買主に鍵を引渡すことで決済と引渡し手続きがすべて終了となります。
このような手続きを1日で終わらせるため、手続きは不動産会社や司法書士に段取りをしてもらうことができますが、ご自身でも流れを把握しておくことも大切です。
最後に
マイホームを手に入れたあなたは今日からオーナーです。
自然災害などは火災保険等でカバーできますが、建物本体や住宅設備機器等は時間とともに劣化していきます。
少しでも劣化を遅らせ、良好な状態を維持させるのがメンテナンスです。将来の修繕等は、基本的にオーナーの役割となります。いざというときのために、メンテナンス費用を蓄えておきましょう。
関連した記事を読む
- 2022/04/26
- 2022/04/10
- 2022/04/08
- 2022/04/06