住宅ローンの申込み手続き
不動産の購入には、住宅ローンの利用が不可欠です。融資を受けるには、大手都市銀行、地方銀行、ネット銀行、住宅金融支援機構のフラット35など、借入先は色々ありますが、いくつかの手続きや審査を経ることが必要です。
どの金融機関でも住宅ローンの審査は、申込者の収入や資産に対して、その物件を購入することに無理がないか、また安定して返済を続けていけるのか、といった申込者本人の信用や返済能力等、そして万が一、返済ができなくなった場合に備えて、物件の担保価値があるのか、大きく分けてこの2つが審査されます。
そして審査は、「事前審査」と「本審査」の2段階で実施され、事前審査を通過しないと本審査を受けることができません。
まずは事前審査
まずは、購入してもいいかもしれないと思える物件が出てきたら、そのタイミングで事前審査を申し込んでみることをおすすめします。
事前審査では、購入予定の物件・契約者の年収・職業から、お金を貸せるだけの年収や返済能力が見込めるかを判断します。
審査に必要な書類は
・運転免許証やパスポートなど本人の顔写真付きの身分証明証の写し
・健康保険証の写し
・前年の年収が分かる源泉徴収票
・自営業者や個人事業主の場合は、直近3期分の確定申告書の写し
・購入を予定している物件の販売図面
・土地を購入して建物を建てる場合などは、建設費等がわかる見積書
・中古物件の場合は、土地と建物の登記簿謄本(登記事項証明書)
などですが、車のローンなど他に借り入れがある場合は、ローンの契約内容や残高がわかる書類が必要になります。
通常3営業日ほどで審査結果が出ます。
また最近では、事前審査をインターネットで簡単に行うことができる金融機関も増えています。申込の際には自身の年収や勤務先の情報、勤続年数等を入力する必要がありますが、必ず正確な情報を入力してください。
事前審査に通ったからといって、必ずその金融機関を利用しなければいけない、というわけではありません。同時に複数の審査申し込みをするのも事前審査に通る確率を上げる方法のひとつです。
銀行が審査しているのではないのです!
多くの金融機関は、保証会社というものを利用しており、審査を行うのは、住宅ローンを提供している銀行ではなく、保証会社が審査をしています。
住宅ローン利用者が、万が一返済を続けられなくなってしまった場合、保証会社がその人に代わって金融機関にお金を返済します。ただし住宅ローン利用者の借金がゼロになるわけではなく、返済先が金融機関から保証会社に移行されます。
この保証会社は、グループ系列の保証会社と独立系の保証会社があり、ほとんどの金融機関は、保証会社の保証を受けられることで融資を行っています。
そのため住宅ローンを利用する人は、保証会社に保証料を支払うことになります。保証料は、一括外枠方式と分割内枠方式の2つ方法があります。
一括外枠方式は、毎月の住宅ローン返済とは別に、前払いで一括して支払う方式、分割内枠方式は、毎回の返済額と合わせて分割して保証料を支払っていく仕組みです。
保証会社を利用しないのは、ネット銀行や住宅金融支援機構のフラット35がその代表的といえるでしょう。
これらの金融機関を利用すれば保証料はかかりませんが、個人に関する審査が厳しかったり、融資事務手数料を支払う必要があり、保証料がかからないというメリットの裏側には、さまざまなデメリットが隠されているので注意が必要です。
こんな人は審査が通らないかも
審査の申込みをしてから、結果がすぐに出るケースがあります。
クレジットカード等の信用情報機関のブラックリストに載っている人の場合は、謝絶(融資不可)の結果がすぐに出ます。これは金融機関が、信用情報機関と情報を共有しているためです。
またクレジットカードの引き落とし日に間に合わず、返済を延滞してしまった、1回であれば問題視されない場合もありますが、複数のカードで複数回など、延滞履歴が残っていると、ほぼアウトです。
他にマイカーローン等の比較的多額のローンを組んでいる場合、その他ローンの額が大きい場合などは、年収の面でクリアしていても、厳しい判断をされる場合があります。
またクレジットカードを作ると、おおかたキャッシング機能がついてきます。カードをたくさん所持しており、そのキャッシング可能額の合計が高額の場合は、「キャッシング可能額を将来借りる危険性がある」と見られてNGとなる場合もあります。
このように住宅ローンの審査において、申込者の信用情報は必ず審査されます。過去に延滞を起こしている等、個人情報に問題がある場合は、審査に通るのはかなり難しいとお考え下さい。
いよいよ本審査
事前審査を無事に通過したら、正式な住宅ローンの申込手続きに進むことができます。ここからが、本審査といわれるものです。
本審査の際には、銀行や提携している保証会社が一緒になって、提出した書類等を詳しく審査されます。
本審査では、事前審査のときに問われなかった項目で、健康状態という要素があります。 金融機関で住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険に加入しなければなりません。
この団体信用生命保険は、借入した本人が高度な障害、もしくは死亡した場合に保険金で債務を弁済することで、遺された家族の救済措置とするためです。
団体信用生命保険に加入する際には、以下の内容を告知することが求められます。
最近3ヶ月以内の医師の治療・投薬履歴
過去3年以内の手術、2週間以上にわたる医師の治療・投薬履歴・手・足の欠損や機能障害、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能障害
これらの告知事項を正しく申告する必要があります。故意または重大な過失によって虚偽の申請をすると、告知義務違反となって保険金は支払われず、住宅ローンの全額返済を求められる可能性もあります。
この保険の審査に通らないと、「住宅ローンの本審査も通らない」ということになりますので、注意が必要です。
より詳しく審査された結果、「事前審査は通ったけれど、本審査には通らなかった」というケースもあります。本審査に要する期間については、概ね1週間から2週間程度で結果が出ます。
住宅ローンの契約
本審査を通過すると、いよいよ住宅ローンの契約です。契約内容については、金銭消費貸借契約と抵当権設定契約、保証会社を利用する場合は保証委託契約をまとめて一つの契約書に盛り込むことが多いです。
必要な書類は・・・
・本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
・住民票(本籍・マイナンバー省略の世帯全員分)
・印鑑証明書
・実印(印鑑証明書登録印と同一のもの)
・預金通帳(借入れる金融機関の口座がない場合は、新規に口座開設)
・返済口座届出銀行印
・収入印紙(契約書用)
・不動産売買契約書の原本や建築請負契約書など
金銭消費貸借契約書には、借入金額、金利、金利タイプ(変動型、固定型)、返済期日や返済方法、返済を滞納した時の対応など、借入れの返済に関する内容が記載されています。
抵当権設定契約書には、債務者の借入金返済の履行を担保するために、不動産(土地、建物)に抵当権を設定するための契約書です。
金融機関は債務者から返済が履行されない場合における、貸出債権を回収するための手段のひとつとして、不動産を競売にかけることがあります。
どの不動産に抵当権を設定するのか、どのような状況で抵当権が行使されるのかなどが記載されています。
保証委託契約書は、住宅ローンの借入れにおいて、保証会社を利用する場合に必要となる契約書です。
住宅ローンの債務者が何らかの理由で返済できなくなった際に、保証会社が代わりに金融機関に対して返済し、金融機関から住宅ローン債権を譲り受けることを定めています。
借主に代わって金融機関に返済されますが、借主の住宅ローン返済義務がなくなるわけではなく、金融機関の住宅ローン債権を譲り受けた保証会社は、住宅ローンの借主に債務の返済を求めることになるという内容が記載されています。
まとめ
マイホームを手に入れるまでの間には、多くの契約を結ぶこととなります。
住宅ローンの申込みをスムーズに行うためには、手続きの全体の流れを把握しておく必要があります。また金融機関によっては借入れできない場合もあります。
住宅ローンは大きな金額を借入れ、長期間に渡って返済していくものですから、自分に合った金融機関を見つけることが大切です。
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